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坐骨神経痛 

お尻、太もも、ふくらはぎの痛み 坐骨神経痛

お尻、太もも、ふくらはぎに走る痛みやしびれは坐骨神経に沿った痛みであり
坐骨神経痛と言います。

腰部脊柱管狭窄症

・・・お尻が痛い、太ももが痛い、ふくらはぎが痛い。これが坐骨神経痛です。前屈すると楽になり、後屈すると痛くなる。歩き出すと痛くなる場合間歇跛行と言う。腰部脊柱管狭窄症の特徴です。腰椎レントゲンでは 腰椎の変形(骨棘、椎間の狭小化、腰椎の前彎が著しい等)が多くの場合あります。腰椎レントゲンでの変性がはっきりしなくてもMRIで脊柱管の狭窄所見がある場合、腰部脊柱管狭窄症と考える。
またMRIの所見も正中を中心に第4第5腰椎の間で脊柱管が狭窄する場合が多く、この場合はMRI画像診断は非常に容易です。第4第5腰椎の外側陥凹狭窄による下肢症状の場合は、脊椎の診療に慣れていない医師では診断が難しい場合がある。

腰椎変性すべり症

・・・症状はほとんど腰部脊柱管狭窄症と同じ。お尻が痛い、太ももが痛い、ふくらはぎが痛い、足が痛い。前屈すると楽になります。立ったり、座ったりで坐骨神経痛がでます。

第4腰椎が第5腰椎より前方にづれています。腰椎の中心を走る脊柱管がづれて狭くなり下肢への神経痛が出現します。

腰椎椎間板ヘルニア

・・・レントゲンを撮影し、腰椎に変性が少ない場合に疑う。お尻から太もも、ふくらはぎに痛みが走る、足に痛みやしびれがある場合は坐骨神経痛と言う症状であり、前屈するとこれを伴う場合はヘルニアの可能性があります。坐骨神経痛がない場合はMRIでヘルニアがあったとしてもヘルニア以外での腰痛の可能性もある。8週間以内に50%の人は痛みが消失します。
手術は排便排尿障害、麻痺が出現した場合が適応となります。排便排尿障害、麻痺がない場合は痛みがひどくても、まづは8週間は経過を待ち、ロキソニン、リリカ 、トラムセットの内服、ボルタレン座薬の使用を行い、場合により硬膜外ブロック、神経根ブロックなどを施行することで痛みを緩和し経過を見ます。

椎間ヘルニア MRI

腰椎椎間板ヘルニアのMRI (右大腿裏側~ふくらはぎ~右足底へ走る痛みのある症例)

椎間板ヘルニア sagittal MRI

腰椎椎間板ヘルニアのMRI (右S1根が椎間板ヘルニアに接しているMRI所見)

腰部椎間板症

・・・慢性 急性の腰痛であり体動時の増悪が特徴で、通常、お尻、太もも、ふくらはぎの痛み、足の痛み、しびれと言った坐骨神経痛の症状はありません。MRIを撮影しても 腰椎椎間板ヘルニア 腰部脊柱管狭窄症の所見がなく、椎間板が変性している所見がある場合これを疑います。医繰り返し、椎間板に炎症が起こった場合に椎間板に腰痛を感じる神経が入りこみ、ちょっとした椎間板の負荷でも腰痛を感じる状態になっています。

椎間板変性 椎間板症
L4/5椎間板は繰り返した炎症性変化のためか 他の椎間板より 黒っぽい色になっています。水分量が少なく、変性が進んでいる所見です。このような椎間板には本来ないはずの、知覚神経の迷入が起こり、少しの負荷で痛み(椎間板由来の腰痛)を感じるようになります。

筋筋膜性腰痛

・・・中腰、前屈時に腰痛を感じ、腰痛が腰椎の傍らの傍脊柱筋に一致している場合にこれを疑う。多裂筋と言う脊柱を支える筋肉に負荷がかかった後、炎症が起こり、攣縮を起こしやすくなり筋肉が浮腫み、筋肉の隙間を通る神経が圧迫をうけて余計に痛みを感じ、また筋肉が攣縮を起こしやすくなる状態である。通常は3~7日で改善する。 いわゆるギックリ腰の主な原因であります。

腰椎椎間関節症

・・・後屈すると痛みが起こる。腰椎の椎間関節に一致した圧痛が存在するのが特徴。

足の痛み、しびれのある症例

ヘルニアと足の神経痛

65歳女性

65歳女性が3か月前に右太ももの前面の痛みが発症し、整形外科でMRIを検査したそうです。第3/第4腰椎椎間板ヘルニアと診断され、そこでは手術をすすめられたとのことです。手術はいやなので他の方法はないかとのことで、ペインクリニックを受診されました。椎間板ヘルニアのある、第3第4腰椎の後方から硬膜外ブロックと言う神経ブロックを施行しました。 2回の施行で痛みが70%程度に軽減 その後も2か月の間に計10回施行し痛みが10%程度に緩和したので、治療を終了しました。

腰椎椎間板ヘルニアは自然に縮小することが知られている疾患です。つまり自然治癒するのです。発症して10年したら、手術してもしなくても同等の状態になることが知られています。

腰椎椎間板ヘルニアの手術の適応は

①排尿障害、排便障害が出現した場合

②高度の下肢筋力低下が出現した場合

です。

これらのは後遺症として残る可能性があるため、手術療法が必要となります。
それ以外の痛み、しびれだけの症状の場合では、
手術療法にて症状悪化する可能性がある、
自然経過にて手術を行わなくても改善することが期待できること

などから

手術を行うかは慎重に検討されることが多いです。

筋力低下 排便 排尿障害がない場合は
痛みがどんなに酷くても、自然治癒する疾患として
鎮痛薬、コルセット、ストレッチ、体幹筋トレーニング、場合により神経ブロック療法といった手術以外の保存療法が優先されます。

坐骨神経痛と腰部脊柱管狭窄症

75歳男性

受診前
もともと腰痛があったが5カ月前から1分歩くと右のお尻から太ももの裏側に痛みが出現してしばらく休憩が必要になるがまた歩けるようになる。マッサージなどを受けていたましたが、症状が全然おさまらないためペインクリニックを受診されました。
診療経過
「最近、歩くとき休憩が必要になった。」症状は足の痛み、しびれと言ったいわゆる坐骨神経痛の症状です。患者さんは歩くと坐骨神経痛が出現する間歇跛行と言う特徴があり、腰部脊柱管狭窄症と考えられます。足が痛くなっても前かがみで休憩すると痛みが収まり、また歩けるようになる。ロキソニン、オパルモンの内服が開始となるが十分症状緩和しないため、硬膜外ブロック、神経根ブロックなどによる診療を2か月施行し、右のお尻から太ももの痛みは軽減し、30分の連続歩行が可能となり、治療は終了となりました。
L4/5レベルで左外側陥凹狭小化所見あり
ここでの左L5神経根のimpingementが発生しての坐骨神経痛
考察
神経ブロック療法は腰部脊柱管狭窄症による腰痛、下肢痛を改善することが可能です。マッサージなどの従来の治療で効果がなくても、手術療法が必要と言われても、硬膜外ブロック、神経根ブロックを考慮することをお勧めします。