首の痛み 頸椎椎間板ヘルニア 頚部脊柱管狭窄症
55歳 男性
受診前
2か月前より右の首筋、右腕、肩甲骨の内側に痛みが出現し、仕事ができない状態になった。
痛み止めを内服しても症状が改善しないため、MRIを施行し第5/6頚椎の椎間板ヘルニアによる痛みと診断された。仕事に支障があるため、整形外科より紹介となり受診されました。
診療経過
「上を見上げると腕と肩甲骨の内側が痛みます。夜痛みで目が覚めます。」痛みが酷く、鎮痛薬での改善を待っていられない状態でした。早速、エコーガイドに頚部神経根ブロックを施行しました。1回の神経ブロックで1週間後には痛みが30%程度に改善した。その後、頚部硬膜外ブロック、星状神経節ブロックを1回づつ施行し3週間後の診察時には痛みが消失していました。
歯科治療、上を見上げる仕事など首を後ろに反らす姿勢をとらないように注意してもらうことを説明して終診となりました。
考察
首の痛み、肩甲骨の内側の痛みがある場合、頸椎椎間板ヘルニアによる痛みを考えます。脊髄症状、神経根症状の2種類に分けられ、神経根症状では画像診断がMRIで難しい場合もあり、また手術適応にならないことも多く、大病院で「問題ない」と片づけられることがあります。手術する状態ではないと言う意味と、数か月の経過で治癒する場合もあるので、オペが主の仕事である大病院の医師側からは「問題ない」と言った表現にされがちです。しかし痛みで生活に困る場合は鎮痛薬を服用しても痛みが酷くて、仕事や家事に支障がある場合、あるいは睡眠障害を伴う痛みの場合は、ペインクリニックでの神経ブロック療法をお勧めします。数か月の経過、あるいは改善しない症状でも 数回の神経ブロックにて痛みを取り除くことが期待できます。