腰椎すべり症

腰骨が下の腰骨より前に滑りだす状態です。5つの腰椎がありますが、ほとんどの場合第4-第5の腰椎間 その次に第3-4腰椎間 および 第5腰椎仙骨間での滑りが起こります。
椎間板と椎間関節、周囲じん帯が 老化変性し弱くなることで腰椎の安定性が失われていきます。腰痛、坐骨神経痛が出現しますが、腰痛に対しては硬膜外ブロック、坐骨神経痛に対しては硬膜外ブロック、神経根ブロックが有効です。

症状

腰椎が小さくずれることを繰り返す不安定な状況になると、腰痛の悪化、座骨神経痛の出現が起こります。脊柱管狭窄症の状態になりますが、立位のレントゲン写真で診断されます。 寝た姿勢でのMRIやレントゲン写真では見落とすことがあり注意が必要です。(立位の時のみ、腰椎すべり症になる場合がある。)
脊柱管狭窄症では通常、前屈姿勢で症状が緩和、後屈で症状悪化することが多いのですが、腰椎すべり症では後屈では症状悪化しますが、前屈でも症状悪化することがあります。
手術療法ですべり症に対し金属で固定する手術を行うことが多いのですが、固定後に固定している隣の腰椎との間に負担がかかり、あらたな脊柱管狭窄症などが発生することもあり、就労年齢である60代は手術を避け、退職後で活動性の下がる年齢の70代後半までオペを待つことが多いです。(腰の前後の動きが減り、固定したとなりの腰椎との病変発生がへる)

 予防 対処法

腰椎すべり症は脊柱管が狭窄することが多く、脊柱管狭窄症と同様の予防 対処法が行われます。腰を前屈みにする運動で脊柱管がひろがり、症状が落ち着く方もいます。逆に腰の後屈は症状の悪化を招きます。痛くても歩行を40006000歩行うことが重要です。これを運動療法と言い、手術療法、理学療法、薬物療法、神経ブロック療法の中でも副作用がなく、安価であり推奨度の最も高い治療の一つとされています。(参照 腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021 日本整形外科学会 監修)ただ腰部脊柱管狭窄症よりも腰椎の不安定なことが多く極端な姿勢は 前屈、後屈、ひねりともに痛みが悪化することがあり注意がより必要です。

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